Kagiという有料の検索エンジンを使っている

Kagiを使い始めて一ヶ月以上たった。結論から言うと、まだ辞める気は無い。 Kagiとは? どういうサービスかといえば、みんながよく知っているGoogleみたいなサービスだといえば、一番わかりやすいだろう。大体同じだ。検索するためのキーワードを入れると、それに該当する記事を出してくれる。 レンズという絞り込みのための機能があったり、Quick AnswerというAIがさっと結果をまとめてくれる機能があったりするが、後者なんかはGoogleにもBingにもあるし、レンズは確か昔のGoogleに似た機能があったりする。 じゃあどこが違うのか? ……有料なのだ。 Kagiの料金プラン Kagiのプランは、個人向けにはシンプルに3通りになっている。 Kagi Starter …… $5/月。一月に300回まで検索できる。 Kagi Professional …… $10/月。無制限に検索できる。FastGPTというKagi独自のLLMと、Unversal Summarizerという要約機能が使える。 Kagi Ultimate …… $25/月。Professionalの機能に加えて、Assistantという他社製のLLM(Claude 3.7 SonnetとかChatGPT 4oとかLlamaとかGemini 2.0 Flashとか)を切り替えて利用できるおまけ機能がある(検索と連携させることもできる)。 ちゃんと消費税もかかってくるので、$1が150円近い現在、最低プランで月800円、一つ上で月1,600円というところだ。正直、安くはない。 というか、なんで検索にお金払ってるの? という感覚が普通だと思う。 GoogleにせよBingにせよ、Duck Duck GoにせよEcosiaにせよ、それなりに機能はしているし、AI検索が使いたければPerplexityやGeminiやChatGPTの無料プランもある。 でも——。 なぜKagiを使うのか? 正直、今の検索に満足できている人は少ないんじゃないだろうか。 特にここ数年、検索結果の質の低下が著しい。上位表示されるのはSEO対策されたアフィリエイトサイトばかり。個人ブログは埋もれ、本当に欲しい情報にたどり着くのが難しくなった。 広告も多い。多すぎる。検索結果の上位を広告で埋め尽くし、スクロールしなければ自然検索の結果にたどり着けない、なんてこともザラだ。 プライバシーの問題もある。Googleを始めとする無料の検索エンジンは、ユーザーの検索履歴を収集し、ターゲティング広告に利用している。便利さと引き換えに、個人情報を提供しているのだ。 Kagiは、これらの問題に対するアンチテーゼとして登場した。 有料であることの最大のメリットは、広告がないことだ。検索結果はオーガニックな情報のみで構成され、ノイズが少ない。 プライバシーにも配慮している。Kagiはユーザーの検索履歴を収集せず、ターゲティング広告にも利用しない。安心して検索できる。 Kagiのデメリット もちろん、Kagiにもデメリットはある。 まず、料金が高い。無料の検索エンジンに慣れている人にとっては、月額数百円〜数千円を払うことに抵抗があるかもしれない。 検索エンジンの規模もGoogleには及ばない。ニッチな情報を探す場合は、Googleの方が有利な場合もある。 FastGPTやUnversal SummarizerといったAI機能も、まだ発展途上だ。精度や速度は、GoogleやChatGPTには及ばない。 まとめ それでも、私はKagiを使い続けている。なぜなら、Kagiは「検索体験」を向上させてくれるからだ。 広告に邪魔されず、質の高い情報にアクセスできる。プライバシーも守られる。検索結果にストレスを感じることが減った。 Kagiは、単なる検索エンジンではない。情報が溢れかえる時代における、情報との付き合い方を提案するサービスなのかもしれない。

2025-04-12 06:56 · 折口詠人

最近のGithub CopilotやChatGPTの変更で世界が変わりつつある件について

最近、GitHub CopilotとVS Codeの組み合わせに「エージェントモード」という新機能が追加された。元々ベータ版では使えるようになってきていたのだが、その時点では試していなかった。が、安定版に降りてきたのでちょっと触ってみた。 エージェントモードとは VSCode(+ GitHub Copilot)のエージェントモードは、複雑なタスクを一連の指示で実行できる機能で、これまでCursorやClineといったツールで実現できていた機能なのだが、そちらは使っていなかったのでその辺と比べとどうなのか、という点については知らない。 小説執筆への応用例 実際に小説執筆に応用してみたところ、驚くべき効率化がみられた。 例えば: 添付したプロットに基づいて4話から8話を作成してください。draftフォルダ以下にある既存のファイル名の合わせたファイル名を付加してください。 という指示を出すだけで、AIが複数の話を自動生成し、適切なファイル名でdraftフォルダに保存してくれる。 ChatGPTやClaudeでも同様の文章生成はできるが、これまでのそれらではファイルの保存は手動で行う必要があった。が、エージェントモードではAIが提案する内容を承認するだけで、ファイル操作まで自動的に行ってくれる。細かな作業が格段に減る。 制約と課題 ただし、幸運か不幸かこの革命的な機能にも制約がある。5月からGitHub Copilotのプランでの利用制限が厳しくなるので、費用面の負担を考えるとそこまでは使えない機能のように思われる。 なので、現時点では根本的なゲームチェンジャーとは言い切れない……が。 ChatGPTの編集機能も進化 一方、ChatGPTの方でも静かな変化があって、いつの間にか、VS Codeなどの編集画面と接続した状態で指示をすると、文書を直接書き換えてくれるようになっていた。 エージェントモードほど完全自動化されてはいないが、テキストのコピー&ペーストなどの手間がかなり省けるようになっている。 ただし、ChatGPT Plus(GPT-4o)レベルでは、元々の日本語生成能力に若干難があるので(小説っぽいテキストを書かせるのに苦労する)、小説執筆に使う、という観点で十分な品質かというと、まだ課題があるようだ。 展望 こうした技術が技術者向けのツールから、一般向けの原稿執筆環境へと広がるのは時間の問題だと思われる(Apple Intelligenceの作文ツールとかある……)。 そして、実装されるようになる頃には、AIの性能もさらに向上していることが予想される。 そのような、本格的なAI執筆支援環境が一般化する日が来たら、物書きの創作プロセスは根本から変わってしまうかもしれない。少なくとも、作家が編集者のようになる未来は近そうだ。 まとめ AIの進化は、物書きの世界を変える可能性がある。作家が編集者のようになる未来は近そうだ。

2025-04-06 12:51 · 折口詠人

Zedエディター試してみるぞーな気持ち

Atomからの系譜 MicrosoftがVisual Studio Codeを作り始めた後、GitHubを買収して、GitHubが作成していたElectronベースのエディタのAtomの開発は停滞して、最終的にプロジェクトはクローズされることになった。 メンテナンスされていない時期にAtom Communityというforkがあったような記憶があるが、クローズ後はPulsarという名前(商標の関係だとか?)のエディタとしてforkされて開発が続いているらしい。 一方、以前にAtomを開発していた人たちが新しく立ち上げたエディタが今回取り上げる「Zed」である。 で、Zedという名前が付いていたエディター、自分の記憶だと2, 3あったような気がする。iOSアプリかなんかであったような。まあ、edの究極版みたいな意味を込めてZed、って名付けは誰でもすると思う。 なので、昔あったよね? となっても、おそらくそれとは違うものだと思った方がいい。(たしかZedって名前で開発してるって話は昔出てたような気がするから、記憶違いではないかもしれないが……) まあ枝葉末節の部分はこれぐらいにしよう。 Zedを選ぶ理由 自分は今、Zedを使い始めたところだ。VS Codeはすでに十分すぎる機能を持っていて、コミュニティの拡張機能開発も活発なので、あえて乗り換える理由は……? というと普通はあまりないと思う。 だが……VS CodeはAtomの亜種みたいなものだから、ベースがElectron。Electronは(元々Atomのために作られたのだが)クロスプラットフォーム開発でGUIを実装するのに優れた手段なのだが——。 仕組み上、Chromiumがまるっと一個必ず動くから、どうしても重量級になってしまう。具体的にはこんな感じ。 それに対して、Rustで書かれているZedはこんな感じ。実際には他の子プロセスもあるのかもだけれど……。 これは流石にだいぶ違う、と思う。 軽量さというメリット 実際、VS Codeは最近のマシンだとそこまで重くはないのだが、それでも「エディタにしては重い」と感じる場面があるのだ。 自分の場合は常に画面がごちゃついてることもあって、少しリソース削減できるならZedに乗り換えるのはありだなと感じていた。 乗り換えの課題 ただ、乗り換えるにあたって支障もあるわけで、次にその辺の整理をしたい。 まず、自分がエディタに求める必須機能について。 Gitリポジトリを扱う機能(GitHub連携もある方が望ましい) AIアシスタントに相談(チャット)できる機能 AIアシスタントに整形などの加工を行ってもらう機能 おお、AIファーストだ。いやもう、正直AIがないとやっていけないのである。 で、これらについては十分な機能があることはすぐにわかった。一番嬉しかったのは、Github Copilot Proを契約していると、そのLLMが呼べることだった。 (あと、驚いたのはなんか組み込みでClaude 3.x Sonnetが使えるっぽいこと。レート制限とかはあるんだろうけど。API呼び出しも当然のようにできるので、最悪Gemini FlashとかClaude Haikuとかの安いAPIを中心にする手もありそう) ちょっとだけ慣れないといけないなあと思ったのは、GitHub Copilotと違って、チャットパネルでチャットと編集を分けて指示するのではなくて、編集はInline Assistのほうでやる感じだとか、そういうUI面の違い。 https://zed.dev/docs/assistant/assistant この辺をちゃんと読んでおけばよさそう。 あと、エディタの基本機能はもちろん、外せない。 エディタの必須機能といえば ターミナルが統合されていること grepやdiffのような基本的な機能の充実 まあこの辺はもはや当然だし、細かく言っているとキリがないので、ここは端折ろう。後発でまだない機能があったとしても、今時のエディタに求められる最低限の編集機能はいずれ完備されるだろう。 カスタマイズの限界 最後に、ちょっと妙なこだわりの部分。 というか、小説を書く、というプログラミング向けのエディタでは本質的ではない用途に使う関係で、期待しすぎても仕方ないのだが、ある程度充実してないと困る部分。 文書によってフォントのカスタムができること(小説本文は明朝で見たいとか) プロジェクト単位で違うカラーテーマが設定できること(小説とブログとプログラム開発で分けたいとか) だけども、現状はちょっと難しそう。 基本的に、プロジェクト単位の設定はプロジェクトルートに.zedフォルダを配置して、settings.jsonに設定を記述する。全体の場合は~/.config/zed/settings.jsonに設定を記述する。 という考え方なわけなのだが、プロジェクトルートの設定でアプリ全体設定を上書きできない項目は当然あり、現状テーマは無理っぽい。フォントサイズやフォントファミリーも多分無理かな? ま、まあMarkdownのプレビューだけ変えられればね、別に小説は読む時にだけ大きめの明朝フォントならいいから……。 え、Markdownのプレビューのフォントは"ui_font_*“なの……。……そっかあ。 別にそこまで困るわけではないので、この辺はこれからですかね。 拡張機能エコシステム そういえば、VS Codeの最大の強みの一つは膨大な拡張機能だ。Zedはこの点はまだまだなので、いくつかは大体手段を考えないとな、と思っている。自分でもなんか拡張機能作ってみたいなあ。 ...

2025-03-29 12:32 · 折口詠人

oeight.meにて小説の先行公開をできるようにしました

Web小説を投稿サイト等へ投稿する前に、ブログにだけ先行して小説を公開できるようにしました。今後以下に掲載していきます。というか既に一つあります。 https://oeight.me/early-access-novels/ あくまで先行公開版という感じです。

2025-03-27 19:14 · 折口詠人

ChatGPTとClaudeとGeminiの簡単な体験談

はじめに 最近、AIを毎日使っている。 現在の体制は、ChatGPT PlusとClaude ProとGithub Copilot ProにGemini(not Advanced)という感じだ。 各サービスのコスト コスト的にいえばChatGPT PlusとClaude Proがそれぞれ$20/月で、Github Copilot Proが$10/月(ただしまだ試用版)で、Geminiは無料版なので無料という感じ。 Geminiの評価 で、この中だとGeminiはあまり契約する気が起きない。 Google Oneが込みになっているので、Google Oneを契約している人にはいいんじゃなかろうかとは思う。 また、Gemini 2.0 Flashはレスポンスが非常によく(他のminiとかHaikuみたいな感じ)、やりとりしてて気持ちよさはあると思うのだが……。 正直言うと、あまり頭がいいとは思えないのだよなあ。 Gemini Advancedになると、より人間らしい音声での音声対話機能がほぼ無制限で使えるはずと記憶している。なので、それを目当てにするならありかなとは思えるのだが。 というか、GeminiはAPIアクセスが非常に安いので、ObsidianのSmart Composerとかの「自分が契約した任意のLLMのAPIを呼び出す」機能のあるアプリで使うのが向いてそう。 あとは、自分がアプリにちょっとAI機能を組み込みたいと思ったときはやっぱGeminiかなあ。とにかく安くて軽量、という感じだ(もっと安いLLMもあるけど、大手の中では)。 まあGeminiに関しては正直あんまり使えてないし、そんな感じでざっと流したい。 Github Copilotの評価 続いてGithub Copilot、$10/月でClaude 3.7 Sonnetやらが使えてお得な感じ。でも、本来はコーディングにのみ使うためのものだと思うし、ファインチューニングや制限も入っていそうな気はする。 でも、これなしでVisual Studio Code使うのはもう無理だなーって思う。まずは無料プランから試せるのはいいところだが、使ってしまうとClaude 3.7 Sonnet欲しいよなあってなっちゃう。うん。 Claude 3.7 Sonnetの評価 そうなんだよね、とにかく今はClaude 3.7 Sonnetが一推しなんだよね。 単純に一番優秀だから。 でも。融通が利くか……と言われると、意外とこの子は扱いづらい。チャットが長くなると「長くなったので次のチャット開いてくださいね」ってなったりするし。 修正依頼に基づいてartifact(添付ファイルみたいなやつ)を弄り始めたにも関わらず、なぜかこっち側では更新されてない……けど自信満々に完了宣言してくる……というバグも起きたりする。 それとWeb版は(少なくとも)macOSだと日本語入力しにくかった気がする。まあこれはChatGPTもちょっとアレなんだけど。変換操作がある言語のことを知らない開発者が多いのは仕方なし。 あとはWeb検索できなかったり(でも、最近英語版では出来るようになったらしい。今後色んな言語に展開される予定だとか)、音声対話機能がなかったり。 LLM本体の性能は一段上、素でも十分すぎるのに、Extended Thinkingを使えばさらに優秀になって、刺さるときはめちゃ刺さる。みたいな感じ。 でも基本機能だけで細かいところは優しくない。じっくり腰を据えて取り組みたいときのClaude 3.7 Sonnet(が通常より5倍ぐらい? 使えるClaude Pro)という感じである。 正直、問題解決に関してはClaudeに投げたい。 ChatGPT Plusの評価 で、最後が使い勝手は一応ナンバーワンのChatGPT-4o……をかなり使いたい放題できる、ChatGPT Plus。 より自然な音声対話機能も使えるし、DALL-Eで画像生成やSoraで動画生成ができて、タスクとして喋ってあげれば通知もしてくれる……とマルチなタレントだ。 なのだけど、頭はそこまでよくはない。議論というか対話する上ではそんな悪いとは感じないのだが、考える必要がある課題になるとかなりの浅さを露呈する感じ。 とはいえ、レスポンスも悪くないので、アイデア出しには非常に向いていると思う。ざっとChatGPT-4oと話してから、取っ掛かりまで準備してもらって、最後はClaude 3.7 Sonnetにキメて貰うのが一番いい感じ。 ChatGPT-4oのいいところは、チャットが長くなると適度にメモリに残して続けてくれるし、ファイルを作ってくれるパターンで柔軟にzipでくるんでくれたりして、目配りできて気が利くという印象。 でも文体(口調)のせいもあるかもしれないけど、どうしてもClaude 3.7 Sonnetみたいな「思慮」を感じるレベルには届いてないなあ、という感じだ。 ...

2025-03-26 10:12 · 折口詠人